とびら
教育に携わって
木山 喬博
1
1名古屋大学医療技術短期大学部
pp.79
発行日 1989年2月15日
Published Date 1989/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551102703
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教育に従事して3年を経過した.教育資料を自分なりに断片的に集める第一段階がようやく終わったところである.今後は,断片的な知識の整理に取り組む時期と自覚している.若くて将来性豊かな学生に何をどのように伝えるか,その難しさを痛感している.楽しく,わかりやすい講義を学生が期待しているものの,その期待に応(こた)えるのは私にとってはまだまだ難題である.その努力はしているが…….
理学療法士の仕事は障害をもっている「人」に接することから始まり,その「人」に満足してもらうことが重要と考えている.満足してもらうためには,有効な治療・訓練の手段を提供する必要がある.「人」にとって,この手段が有効でさえあれば,第三者がその有効性を科学的に納得するか否かは問題ではない.しかし,教育の場においては納得できる内容のほうが伝えやすいし,理解しやすいはずである.薬物や手術療法では大きな効果が得られることが多いが,理学療法による効果の幅はきわめて狭いため,理学療法「学」および「術」を学生に伝達するのはほんとうに難しいと感じている.
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