技術講座 一般
尿沈渣中の異常細胞の見かた
一柳 好江
1
,
平光 幹彦
1
,
餌取 文昌
1
,
山田 鉄也
1
1岐阜市民病院中央検査部
pp.1441-1447
発行日 2001年12月1日
Published Date 2001/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543906626
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新しい知見
一般検査では尿検査のスクリーニングとして,短時間に的確な情報を提供することが求められている.そのためには採尿方法,尿の外観,投与薬剤,尿定性検査,生化学検査結果などを念頭に置き,尿沈渣の鏡検に臨むべきである.近年,どの分野においてもEBM(evidence based medicine)が盛んに謳われているが,尿沈渣検査においても同様であり,いろいろな情報を基に成分を同定することが大切である.異型細胞を検出することは悪性腫瘍の早期発見につながり,臨床的に大きな意義がある.しかし,炎症や結石症,ウイルス感染,放射線や薬剤治療などの物理的・化学的影響により,良性細胞が異型性を示すことがあるので注意する必要がある.異型細胞の良性・悪性を鑑別するには,核の大きさ,クロマチンの増量の有無,核形の不整,集塊状の出現などいくつかのポイントがあるが,尿中に出現する正常な細胞像を把握したうえで様々な角度から細胞を観察すること,さらに細胞診との連携も必要である.
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