臨床検査に必要な統計処理法・28
SN比を用いた検査法の性能評価—感度の違いを考慮した信頼性の比較
細萱 茂実
1
1山梨医科大学医学部附属病院検査部
pp.383-387
発行日 2002年4月1日
Published Date 2002/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543906171
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はじめに
測定法の信頼性に関する特性は,主に精密さと正確さが評価される.しかし,免疫化学分析法の一部のように標準化が達成されていない場合は,測定法によって正確度に差が認められ,精密度を単純に比較することができない.また,変動係数(CV%)を用いても,測定濃度域により精密度は一定せず1),この観点からも検査法の性能を単純比較することは困難である.
これに対して,測定法の感度と誤差との比を用い,測定法の性能を評価する考えかたがある.感度とは目的物質の量に依存する測定法の信号(signal;S)の大きさであり,一方目的物質以外の要因が測定値に与える影響が誤差(noise;N)である.感度と誤差は比例的に増減することが一般的で,感度を上げると誤差も大きくなってしまうことが多い.そこで,感度と誤差との比すなわちSN比を用いて,試験・測定方法の性能を比較しようとする方法である.通信工学の分野では広く用いられている指標であるが,臨床検査法の性能評価にも応用ができる.
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