増刊号 病理組織・細胞診のための日常染色法ガイダンス
13.金属・無機物の日常染色法
d)鉛の染色法
キレート法(ロジゾン酸法,ジチゾン法,Br-PADAP法)
鷲見 和
pp.886-888
発行日 2001年6月15日
Published Date 2001/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543905923
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目的
鉛を含むガソリンや塗料がわれわれのまわりから姿を消して以来,鉛の環境汚染や鉛中毒の問題はほとんど耳にすることがなかった.しかし,鉛中毒によく似た症状が最近見いだされ,調査の結果,中国でつくられた漢方製剤に高濃度の鉛,水銀,ヒ素などが検出されたと一部の新聞に報じられた.
無機鉛はヒトの呼吸器や消化管から吸収され,血液中から肝,腎,筋肉などの軟部組織に取り込まれ,さらに安定蓄積部位としての骨組織に沈着する.軟部組織のうち,大動脈,肝,腎に高濃度の蓄積が見られる.一般に鉛の排泄は遅く,ヒトの生物学的半減期は約10年といわれている.鉛による健康障害は,貧血,末梢神経炎,尿細管障害などが知られている.
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