検査データを考える
喀痰から検出されたMRSA
渡辺 彰
1
1東北大学加齢医学研究所呼吸器腫瘍研究分野
pp.1537-1541
発行日 2000年12月1日
Published Date 2000/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543905686
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はじめに
methicillin(dimethoxyphenyl penicillin;DMPPC)耐性黄色ブドウ球菌(methicillin resistant Stapylococcus aureus;MRSA)が検出されると,臨床現場が混乱することがある.検体採取手技に問題がなければ,無菌部位(血液や髄液など)からの検出菌は起炎菌と判断できるが,汚染部位やMRSAが常在菌として存在し得る部位からの検出では,それが起炎菌なのか否かの判断が難しく,治療方針がまったく変わるからである.喀淡から検出された場合に特に問題が大きい.
本稿では,自験例の解析から,Colonization(=定着)にとどまって起炎性のないMRSAが多く,抗菌薬投与が不要な例の多いこと,およびその鑑別点(=診断基準)を述べる.なお,以下は呼吸器内科で日常臨床に携わる者の考えかたであり,その点をご勘案いただきたい.
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