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MRSA PBP 2'の検出
斎藤 充弘
1
1ダイナボット(株)総合研究所
pp.37
発行日 1994年4月15日
Published Date 1994/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901873
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MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)は,院内感染原因菌の1つとして近年注目されている.MRSAは多くの抗生物質に耐性であり,特に今日多量に使用されているペニシリン,セフェムなどβラクタム剤が有効ではなく,その治療にはバンコマイシンなど数種の薬剤が有効とされている.
PBP 2'(ペニシリン結合蛋白2プライム)は黄色ブドウ球菌を含むブドウ球菌の耐性に関与する.ブドウ球菌は数種類のPBPを有しており,これらが細菌細胞壁合成酵素として働いている.抗生物質,特にβラクタム剤はこれらの酵素に結合し酵素を不活化し,その結果,細胞壁の合成ができず菌は死に至る.ところが,PBP 2'は抗生物質とあまり結合せず,抗生物質があっても細胞壁合成酵素の作用を持ち菌を増殖させる.したがって,PBP 2'を産生するブドウ球菌は多くの抗生物質が有効ではない耐性ブドウ球菌である.
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