増刊号 血液検査実践マニュアル
Part 8 遺伝子関連検査
1.染色体検査
3)検査の実際 c)染色体分析
田村 高志
1
1杏林大学保健学部臨床遺伝学教室
pp.939-941
発行日 2000年6月15日
Published Date 2000/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543905522
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はじめに
造血器腫瘍と染色体異常との最初のかかわりは1960年,慢性骨髄性白血病(chronic myelocyticleukemia;CML)の患者で見られたPh染色体の発見である.Ph染色体は当初G群染色体長腕の部分欠失と推測されていた.分染法による解析で,この染色体は22番染色体(22q-)であることが判明した.さらに9番染色体長腕と相互転座していることも併せて確認された.急性骨髄性白血病,リンパ性白血病でも特異的な染色体異常が報告された.
近年,FISH法(後述)などの分子細胞遺伝学的手法を用いることで,染色体分染法で見逃されていた微小な染色体異常についても新たに報告されてきている.最近は染色体転座の切断点に局在する癌遺伝子との関連についての病因論も明らかにされてきている(「遺伝子検査」の項を参照).ここでは染色体異常についてのみ述べる.
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