絵で見る免疫学 基礎編・3
自己の表現と主要組織適合遺伝子複合体
高木 淳
1
,
玉井 一
2
,
隈 寛二
2
1ダイナボット(株)器機診断薬事業部
2隈病院
pp.280-281
発行日 2000年3月1日
Published Date 2000/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543905322
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MHCクラスIとクラスII
抗原提示細胞は捕捉または感染した病原菌などの外来性蛋白をペプチド断片化し,これを細胞質内で糖蛋白分子に結合し,細胞表面に運び,T細胞に提示する.この糖蛋白分子を主要組織適合遺伝子複合体(major histocompatibility complex;MHC)という.MHC分子にはクラスI(以下MHC I)とクラスII(以下MHC II)の2種類があり,2種類の違いは提示された抗原の由来にある.
MHC Iは細胞質内で合成された蛋白に由来したペプチドを結合する.主に樹状細胞に感染したウイルスは,細胞質内でウイルス蛋白を合成するので,ウイルス由来のペプチドにMHC Iが結合して細胞表面に運ばれる.このMHC Iとウイルス由来のペプチド断片をCD8(cluster of differentiation 8)と呼ばれる分子を細胞表面に持つ細胞傷害性T細胞(TC)が認識する.このTCは,認識したペプチドに由来するウイルスに感染した細胞を破壊する能力を得る(図1).
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