検査じょうほう室 輸血:輸血検査と血液型の謎
日本人のABO variants—その1.H抗原を持つvariants
永尾 暢夫
1
1大阪府赤十字血液センター製剤部
pp.158-159
発行日 2000年2月1日
Published Date 2000/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543905303
- 有料閲覧
- 文献概要
はじめに
ABO血液型は,A,O,B,AB型の4とおりに大別され,それぞれに抗原活性の異なる亜型あるいは変種と呼ばれる血液型が存在する.これを英語ではvariation(多様性)を語源とするvariantと呼び,血球,血清,唾液の性状から分類されている.A型にはAint,A2,A3,Ax,Am,Ael,Ah,Amh型,B型にはB3,Bx,Bm,Bel,Bh,Bmh型などが知られているが,以前はB型のVariantsは欧米ではあまり報告例がなく未整理であった.それゆえ,B型のvariantsの多いわが国では,A型のvariantsにanalogousなものをそれになぞらえて命名してきた経緯がある.
表1はわが国で検出されたABO variantsを山口の分類1)に従って整理したもので,これを輸血時の適合血液の確保の点からH抗原を持つものと持たないものに分けることができる.
Copyright © 2000, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.