増刊号 緊急検査実践マニュアル
各論
4.輸血検査
1)ABO血液型 技術編
平野 武道
1
1慶應義塾大学病院輸血センター
pp.825-831
発行日 1999年6月15日
Published Date 1999/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903876
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はじめに
ABO式血液型は,1900年,LandsteinerらによってA・B・O型が,翌年にAB型がDe Castellらによって発見された.ABO式血液型は,自己の抗原に対して,血清(血漿)中に自己の抗原に対応しない抗体を規則的に(正常規則抗体)持っている.この原理をランドスタイナーの法則という(表1).ABO式血液型を決定するには,赤血球膜上の抗原(オモテ)検査と血清(血漿)中の抗体(ウラ)検査の2法の検査を実施し,双方の検査結果が一致してABO式血液型が決定される.まれにオモテ・ウラ試験の不一致が見られ,ランドスタイナーの法則にそぐわないことがある.
このような不一致の原因の多くは,亜型,自己抗体,不規則抗体,疾患によって観察される(表2).原因究明には広範囲な検査項目を考慮するとともに,種々の試薬,反応温度条件,唾液の型物質などの検査と,疾患・輸血歴・家系調査が必要となってくる.不一致の解明が速やかにできる検査システムとして,試薬の精度管理・検査マニュアルが必要とされる(図1).その他,ABO式血液型の遺伝形式を知ることが大切である.
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