検査法の基礎検討のしかた 微生物検査・3
薬剤感受性試験
相原 雅典
1
1天理よろづ相談所病院臨床病理部微生物室
pp.1075-1079
発行日 1997年11月1日
Published Date 1997/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903280
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はじめに
薬剤感受性検査に関して基礎的検討が必要となるのは,なんらかの理由で検査法の変更を迫られた場合,検査成績の信頼性に疑問が生じた場合,既存の検査法になんらかの欠陥が認められた場合,検査法の適用から外れた菌種の感受性検査を検討する場合,および新薬のディスク化とそれに伴う判定基準や精度管理限界の設定が必要となる場合であろう.これらの中には一般の検査室ではあまり日常性のないケースもあるが,例えば現在ディスク法で検査を行っている施設で,臨床医から特定の薬剤を使って菌の最小阻止濃度(minimal inhibitory concentration;MIC)値を測定してほしいと求められた場合や,検査を合理化する必要上,自動機器の導入を検討しなければならない場合などは,検討対象となる方法が信頼に値する成績を出し得るか否かについて検討する必要がある.
日常の実務的な検討の多くは,標準化(またはオリジナル)された術式を厳密に遵守し,規定された管理菌株を使って繰り返し試験して,得られた成績が規定の管理限界内におさまっていれば,方法上誤りなく試験が行われたと判断できる.しかし,ときには設定された判定基準そのものに不都合が感じられることもしばしばある.
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