増刊号 輸血検査実践マニュアル
各論
血液型
赤血球
Rh血液型
大久保 康人
1
1大阪府赤十字血液センター
pp.91-95
発行日 1997年6月15日
Published Date 1997/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903108
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
Rh血液型の命名
1940年LandsteinerとWiener1)は,アカゲザル(Macacus rhesus)の赤血球でモルモットとウサギを免疫してつくった抗体がアカゲザルのみならず白人の約85%のヒトの赤血球を凝集させたので,この抗体をrhesusの名にちなんでRh抗体とし,抗原をRh抗原と名づけた.なお,この抗体の凝集する赤血球をRh陽性,凝集しないものはRh陰性と呼んだ.しかし,後にこの抗体はヒトから発見された真のRh抗体とは異なることがわかり,発見者のLandsteiner,Wienerの名から両者の頭文字をとり,LW抗体と呼称されることになり,現在はLW系血液型として,Rh系より独立している(血液型systemのNo.0162)).
LandsteinerとWienerの発見の前年(1939年),Levineら1)は死産児を分娩した母親の夫の血液を輸血したところ,ABO型が同じ型であるにもかかわらず強い溶血性副作用を起こした症例に遭遇した.精査の結果,母親の血清は夫血球を凝集することが判明した.しかもこの抗体は前記のRh抗体と同じであることを1940年,Wienerら1)が報告した(実際には前記のとおり同じではない).現在,Rh抗体として日常検査に使用されている抗体は,このようなヒト由来のポリクローナル抗体とモノクローナル抗体である.
Copyright © 1997, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.