最近の検査技術
尿自動分析システム
奥田 清
1
1大阪市大中検部
pp.288-294
発行日 1976年4月1日
Published Date 1976/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201037
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
疾病構造の変化,人口構造の高齢化に伴い医学,医療も変遷を続けるなかで,生体情報入手手段としての臨床検査の重要性は加速度的な高まりをみせている.そしてその需要の増大は諸家の指摘するところであり,また各種の統計資料もこれを裏づけていると言える.尿検査ももちろんこの例外ではなく,むしろスクリーニングテストとして意義の大きさ,患者に負担を与えない検体採取,検査操作の簡易性などの理由から,一般診療はもとより各種集団の健康管理のパラメーターの一つとして,積極的に取り入れてきているのが現状である.
一方,臨床検査の自動化は特に臨床化学,血液学検査領域において既に一定の評価を受けるに至っており,省力化はもとより検査成績の精密度の向上に対する大きな効果が確認されている.尿検査においても前述のごとく集団健診など適用の拡大も介めて需要が急激に増大しており,省力化と精度の低下を伴わない大量検体処理の必要性から,その自動化が各方面で検討されていた.もちろん少数検体の処理の場合も自動化のメリットの大きなことはいうまでもないため,これら幅広い要求をできるだけ満たすための分析原理とスペックの開発に,それぞれ大きな努力がはらわれているのが現状である.
Copyright © 1976, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.