今月の表紙
細胞周期解析法
井上 健
1
,
巽 典之
2
1大阪市立総合医療センター病理部
2大阪市立大学医学部臨床検査医学
pp.327
発行日 1996年4月1日
Published Date 1996/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902661
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細胞分裂周期はG0-G1-M-G2-と回転していく.その結果,染色体分裂,そして収縮輪が切れ込み細胞分裂が生ずる.この一連の過程はやはり細胞運動の表現型の1つであるとされる.臨床検査室においてこの細胞周期観察は白血病を含む各種癌や血液幹細胞の病態解析に多くの情報を与えてくれる.
図aは赤芽球の核分裂像,すなわち細胞周期上M期のメイ・ギムザ像を例示している.細胞分裂M期像は無染色ないし染色標本観察で容易に判定できる.図bはRS(nucleolar organizer resion)でribosomal DNA(rDNA)のループ形成構造部の名称である.その関連蛋白を染色したのがこの像であり,細胞周期上S期の観察に適している.円形核を持つ赤芽球と考えられる細胞には多数の黒色銀顆粒(AgNOs)を認めるものの,右上および右下の分葉核好中球にはごく小さなもの1個認めるのみである.この顆粒はRNAポリメラーゼIによるrDNA転写活性の指標と考えられる.
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