検査ファイル
病理診断報告書の整理と保存
長谷川 章雄
1,2
1小田原市立病院病理臨床検査科
2東京大学医学部
pp.237
発行日 1994年3月1日
Published Date 1994/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901836
- 有料閲覧
- 文献概要
病理学会の疑義照会に対する厚生省の回答でも明らかなように“病理診断は医行為”である1).また最近の医療法改正の際の特定機能病院の規定のは“臨床検査および病理診断を適切に実施する体制の確保”との条件が記されている.その意味のおいても,病理診断は他の臨床検査によって得られるデータとは異なった水準の重要性を有していることは多言を要しない.実際の医療現場において,特に臨床研修指定病院などにおいては,病理報告書は製本されて,いつでも検索が可能なように,病理パラフィンブロックとともにほぼ永久に保存されていることはまれではない.医師法において患者カルテの保存義務が5年と定められているが,それ以降のおいても病理報告書のみは保存されており,被剖検患者の20年以上前の手術材料報告書を確認することができたというのは多くの病理医が経験しているところである.私見のよれば,技術が進歩しても,やはりオリジナルの診断書自体が,臓器写真,切り出し図とともに保存されているのが望ましい.また一方,診断書そのものが患者の疾患についてしばしば最終的な診断を包含しているが故に,その個人の秘密の保護については,病理医のみならず,病理検査技師の方々の配慮が他の検査分野以上に望まれる.
近時,カルテ保存スペースの欠如と情報機器の進歩に伴い,病理学者,病理医は医療情報の作成(診断),保存,伝播のついての専門家としての使命が強調されだしている2,3).
Copyright © 1994, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.