明日の検査技師に望む
細胞診との出会いと軌跡
髙橋 正宜
1
1(株)エスアールエル細胞病理研究所
pp.1060
発行日 1993年12月1日
Published Date 1993/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901745
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臨床検査と自動化の進歩は切り離せない関係にあるが,1956年ごろ病理学では米国でかなり先駆けてテクニコンの自動包埋装置が24時間稼動し,肉眼所見も組織所見も口述で録音し,タイプ報告がなされていた.それにもかかわらず40年も経て,その機構がほとんど変わっていないのはどうしたことであろうか.私が基礎に在席したのは大学院のわずかに3年で,米国における臨床例を中心とした病理学が臨床検査の出発点となった.細胞診との出会いはそのときである.
“癌とは基底膜を破って周囲の正常組織を破壊性に,浸潤性に進展する自律性増殖の腫瘍で,血管やリンパ管行性に転移を起こすものである”という概念をたたき込まれていた私には細胞診はまさにショックであった.組織染色でアザン・マロリーの美しさは知っていたが,パパニコロウ法のオレンジG,ライトグリーン,ビスマルクブラウンを基調とした多彩な鑑別染色と優れた透明度には魅せられずにはおられなかった.
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