トピックス
動脈硬化と内皮細胞
増田 弘毅
1
1秋田大学医学部第二病理学講座
pp.849-850
発行日 1993年9月1日
Published Date 1993/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901687
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動脈硬化は動脈が硬くなる病気といった意味である.確かに子供の動脈は成人あるいは老人のそれに比較して硬い.また時には血管壁に石灰化が生じ,骨のようになる場合もある.同時に動脈の内面は不規則になり,ひどくなると潰瘍が生じ,時には内腔が太くなったり,狭くなったりする.
このため動脈硬化の研究はまず動脈硬化というものを定量化することから始まった.その因子としては肉眼所見(内腔の広さ狭さ,脂肪斑,粥腫,潰瘍,石灰化など)と組織学的所見(内膜肥厚,粥腫,内弾性板の変性,中膜の変性,外膜の変化,炎症所見など)をもとにして行われてきた.例えば大動脈を開き内腔面全体に占める脂肪斑や粥腫の割合を比較し,多いものを動脈硬化が強いとしたり,内膜肥厚の厚さの比較から厚いほど動脈硬化が強いとしたりした.実験的にも同じ定量化因子が問題になり,コレステロールを大量に摂取させ,それによって生じた変化をヒトにおける動脈硬化と病変の近似として研究が行われてきた.
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