今月の表紙
リンパ球—正常リンパ球に見られるdense bodyの立体構造
中浜 昌夫
1
1東京大学医学部附属病院分院検査部
pp.223
発行日 1991年3月1日
Published Date 1991/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543900545
- 有料閲覧
- 文献概要
ヒト正常リンパ球において電顕的に観察される高電子密度の顆粒(denes body以下,DB)には二つのタイプがあることが知られている.DBの細胞質内における分布様式には違いがあり,集合して見られるものはclustered DB(以下,CDB),散在して見られるものはscattered DB(以下,SDB)と定義されている1).CDBあるいはSDBはT,Bどちらの細胞においても観察されうるが,頻度的にCDBはT細胞(T:64%,B:24%)に,SDBはB細胞(B:67%,T:28%)で優位に見られることが報告されている1).
筆者は前回,非ホジキン悪性リンパ腫におけるこれらCDB,SDBの出現について検索を行い,CDBはTリンパ腫にかなり特異的(T:91%,B:16%)に出現し,SDBはBリンパ腫の大部分に出現するがTにもかなり出現する(B:97%,T:73%)ことを明らかにした2).またCDBを構成する個々のDBのほとんどすべてに限界膜が存在するが,SDBにおいては限界膜のあるDBとないものがあることがわかった.しかし,これらDBの立体構造の詳細についてはこれまで何も明らかにされていない.そこで今回,CDB,SDBがT,Bリンパ腫の本質的な指標になりえるかどうかを判断するための一助として,正常リンパ球におけるCDB,SDBのコンピューター立体的再構築を試みた.
Copyright © 1991, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.