増刊号 血液・尿以外の体液検査法
資料
皮下結晶成分の解析法
今野 稔
1
1横浜市立大学医学部病院中央検査部
pp.887-889
発行日 1990年5月15日
Published Date 1990/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543900267
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
皮膚科領域においては,異物沈着症の一種として《石灰沈着》(calcinosis cutis, calcification,またはcalcium deposition)例があり,小児の皮膚筋炎に伴っている例が多い.これらは,「不溶性のカルシウム塩が皮膚ないし皮下組織に沈着巣を作っている場合」であり,皮下組織では塊状に,真皮では顆粒状に沈着するといわれている.石灰沈着が起こると硬くて白い丘疹ないしは結節として認められ,内容物は白色クリーム状か泥状を呈し,自然に排出されることもあると報告されている.
上記のような石灰沈着例以外に,皮下に結晶が沈着する例があると思われるが,ここでは筆者らが経験した石灰沈着例の中で,ヒドロキシアパタイト〔Ca5(PO4)3OH・2H2O〕と解析された例を提示しながら,結晶成分の解析方法について解説する.
Copyright © 1990, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.