増刊号 血液・尿以外の体液検査法
17 血腫内容液
C.生化学検査
森 三樹雄
1
1獨協医科大学越谷病院臨床検査部
pp.774-775
発行日 1990年5月15日
Published Date 1990/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543900225
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はじめに
血腫とは,血管が破裂することによって出血して局所的に血液が貯留したものをいう.血腫と呼ばれるものは表1に示すように頭皮下血腫,頭蓋内血腫,肺血腫,腎血腫,大動脈瘤血腫などがあり,病因としては外傷によるものが多い.これらのうちで日常比較的多く遭遇するのは頭蓋内血腫で,その中でも慢性硬膜化血腫や脳実質内血腫の頻度が高い.
慢性硬膜下血腫では穿頭法,脳実質内血腫では定位的血腫吸引法が行われ,血腫内容物が除去される.血腫内容物は発生した場所,溶血の度合い,血腫の古さ,髄液などの体腔液の混じり具合などによりその化学成分は異なる.このような理由で一般的には生化学検査を行ってもその値はまちまちとなるために,血腫内容物の生化学検査を実施することはほとんどない.
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