増刊号 血液・尿以外の体液検査法
17 血腫内容液
A.総論
益子 邦洋
1
,
大塚 敏文
1
1日本医科大学救急医学科
pp.771-773
発行日 1990年5月15日
Published Date 1990/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543900223
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はじめに
血腫とは,Dorlandの“Medical Dictionary”によれば,‘a localized collection of blood, usually clotted, in an organ, space, or tissue, due to a breakin the wall of a blood vessel’,すなわち,なんらかの原因により血管壁が破綻し,そこから出た血液が臓器や体腔内あるいは組織内に貯留したものであり,通常は凝血塊を形成しているのである.さまざまな原因によりいろいろな場所に形成されるが,打撲などの鈍性外力により皮下組織にみられるものを皮下血腫と呼び,感染さえ合併しなければ自然に吸収して予後良好である.これに対して頭蓋内に形成される硬膜外血腫や硬膜下血腫,縦隔内に形成される縦隔血腫,胸腔内に形成される血胸,後腹膜に形成される後腹膜血腫などでは,血腫の排除や出血源に対する処置を行わなければ時に生命の危険を伴うこともある.また,四肢の関節腔内に形成される関節血腫では,可動域の減少など将来にわたる機能的予後が問題となる.
以下,代表的な血腫内容液について具体的に述べる.
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