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はじめに
2019年に発生した新型コロナウイルス(severe acute respiratory syndrome coronavirus 2:SARS-CoV-2)感染症(coronavirus disease 2019:COVID-19)は,その後短期間の間に急速に世界中に拡散し猛威をふるっている.2022年4月11日時点の世界のCOVID-19感染者数は4億9,800万人(うち死亡者数約617万人)であり1),日本においても感染者数はおよそ704万人(うち死亡者約2万8,600人)にのぼる2).
COVID-19の診断法として,当初より用いられてきたのが,SARS-CoV-2のゲノム RNAを部分的に検出する核酸増幅検査である.そのなかでもRT-PCR(reverse-transcription polymerase chain reaction)は,COVID-19診断法として最初に確立された方法である.今日では,LAMP(loop-mediated isothermal amplification)法やTRC(transcription reverse-transcription concerted reaction)法といったSARS-CoV-2のゲノムRNA検出を目的とした原理の異なる複数の核酸増幅検査が考案され,日常検査の現場で使用されている.それらに加えてSARS-CoV-2抗原定量検査も普及し,検査の選択肢は増えてきている3).
本稿では,SARS-CoV-2のゲノムRNAの検出を目的とした核酸増幅検査(主にRT-PCR)について,運用する際に準備すべき設備を中心に概説する.
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