増大号 見て学ぶ 一般検査学アトラス—外観検査から顕微鏡検査まで
穿刺液検査
関節液
関節液の外観検査
山下 美香
1
1広島赤十字・原爆病院検査部
キーワード:
色調
,
混濁
,
粘稠度
,
白血球数
,
ヒアルロニダーゼ処理
Keyword:
色調
,
混濁
,
粘稠度
,
白血球数
,
ヒアルロニダーゼ処理
pp.336-339
発行日 2022年3月1日
Published Date 2022/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543208637
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概要
関節は外側から軟骨下骨組織,関節軟骨,靱帯を含む軟部組織,関節包とその内面を覆う滑膜よりなる.滑膜は2層からなり,内膜の滑膜細胞と外膜の線維膜で形成され,生理機能としては,①関節液(滑液)の産生,②関節液との物質交換を行う.関節包を満たす関節液は滑膜内脈絡叢から濾過された血漿成分とB型滑膜細胞が産出したヒアルロン酸−蛋白質複合体が合わさった液体で,正常な関節液は無色〜淡い黄色で粘稠性のある弱アルカリの液体である(表1,図1)1).
関節液の主な機能は,①関節表面にpH変動のない少ない水分環境の供給,②関節内の栄養供給と排泄,③潤滑油としての機能である.その量は0.13〜3.5mL,平均1.1mLとされているが2),炎症などの病的状態では100mLを超えることもあり,色調も黄色〜黄褐色と濃くなり濁度が増してくる.粘稠性は炎症が起こるとリソゾーム酵素によるヒアルロン酸の分解や,関節液の増加によるヒアルロン酸の希釈で低下すると考えられている.関節液検査では白血球数により正常,非炎症性,炎症性,化膿性に分類されるが(表1,図2)1),あくまでも“目安”であり絶対的なものではない.
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