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「がんゲノムの研究会立ち上げない?」と,私に遺伝子検査の基礎を叩き込んでくれた技師から連絡がきた.がんゲノム医療が始まって約2年が経過したが,“がんゲノム医療が認知されていない!”という想いからのお誘いだった.確かに,いまでもがんゲノム医療に携わっている技師の人口は相当少ない…….しかし,セミナーを開催すると参加者数はかなり多い.“業務専門外だが,知識は持っておきたい”という,技師の真面目な性格を感じたのを覚えている.セミナーも再開したいし「やりましょう!」と即答した.そうなると最初にやることは“仲間を集めること”だ.2人でそれぞれ“がんゲノム仲間”に声をかけることにした.
立ち上げの誘いをしてくれた技師は,学会の役員をしていることもあり,“組織”を支える経験を持つ人材に声をかけていた.“類は友を呼ぶ”とはよく言ったもので,それは……私側にも言えた.私が懇意にしているがんゲノム技師は,激しくキャラが濃い.超シャイだけど超辛口キャラ,がっつり親分タイプ,真面目学者タイプ.でも,全員に共通するのは超が付くほどストイック.学者タイプの技師は「健全な精神は健全なる肉体に宿る」と言って,常にバッキバキに肉体を鍛えている(←女性だよ♥).どう考えても3人とも“集団で何かをする”ことに興味がなさそうだった.そして3人はわかっている……私から連絡がくるときは必ず“何かのお願い”であることを.「セミナーやる!講師やって」,「本出す!原稿書いて」といった無茶ぶりばかり.そろそろ「連絡してくるな」と怒られそうである.今回も「お願いがある」と連絡をした.すると,詳細を説明する前に「やなさんとなら,何でもやる」,「OK!」,「断る理由が見当たらん」と返信がきた……泣けた.
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