増刊号 First&Next Step 微生物検査サポートブック
各論 菌種別の培養・同定方法
グラム陰性球菌
カタル球菌—Moraxella catarrhalis
中山 麻美
1
1東北大学病院診療技術部検査部門
pp.270-271
発行日 2021年3月15日
Published Date 2021/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543208291
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Summary
カタル球菌(Moraxella catarrhalis)はヒトの鼻咽頭粘膜に常在するグラム陰性双球菌である.慢性気道感染症患者では保有率が高く,中耳炎や副鼻腔炎の起炎菌となる.呼吸器感染症では,肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)やインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)と同時に検出されることが多い.
患者背景とグラム(Gram)染色からM. catarrhalisが疑われた場合,翌日の培地上で“hockey puck test”陽性の集落であるかを確認する.また,ほとんどの株がβ-ラクタマーゼを産生することから,β-ラクタマーゼ試験が陽性であることがポイントである.さらには,ブチレート試験陽性を確認することで同定できる.ナイセリア(Neisseria)属菌との鑑別にはDNase産生が陽性であることが有用である.
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