臨床医からの質問に答える
薬剤性腎障害の際に,なぜ尿中に好酸球が出現するのですか?
西尾 康英
1
1東京都立多摩総合医療センター内科
pp.742-746
発行日 2020年7月1日
Published Date 2020/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543208053
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薬剤性腎障害の種類と急性間質性腎炎
薬剤性腎障害は,障害部位や機序から図1に示すようにさまざまな病態疾患がありますが,好酸球が関連するのは尿細管が障害部位となる間質性腎障害です1).尿細管と間質を障害する薬剤性腎障害は図1中の太字で示しますが,障害機序から,薬剤が用量依存性に尿細管を障害する直接毒性(中毒性)(中毒性腎障害),用量非依存性の免疫的機序による腎障害(急性間質性腎炎),腎血流障害や電解質異常を介した間接毒性(虚血性腎障害),溶解度の低い薬剤の結晶析出性(結晶沈着性腎障害)の4つに分類されます.好酸球が尿中にみられるのは,そのなかでも2番目の免疫的機序によって起こされる薬剤性尿細管間質性腎炎です.
尿細管間質性腎炎は急性と慢性に分類されます.両者が合併することが多く,好酸球が関与するのは主に急性尿細管間質性腎炎で,ATIN(acute tubulo-interstitial nephritis)が正しい病名と略称ですが,通常,尿細管を省略して“急性間質性腎炎”と呼ばれることが多いので,本稿では急性間質性腎炎の略語として汎用されているAIN(acute interstitial nephritis)を用います.
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