オピニオン
認定認知症領域検査技師に期待するもの
浦上 克哉
1
1鳥取大学医学部保健学科生体制御学講座・環境保健学分野
pp.1230-1231
発行日 2015年11月1日
Published Date 2015/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543206262
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認定認知症領域検査技師制度の背景と目的
2014年に,厚生労働省から認知症患者は462万人,軽度認知障害が400万人と報告され1),国家戦略として認知症対策に取り組むことが打ち出されている.しかし,認知症医療に対応できる専門職は極めて少ない.医師には認知症専門医,看護師には認定看護師があるが,その数は極めて少なく,現場のニーズに対応できていない.臨床検査技師には,認知症に対応できる専門制度そのものが存在していなかった.
2012年4月から髄液中タウ蛋白の測定がクロイツフェルト・ヤコブ病(Creutzfeldt-Jakob disease:CJD)を,髄液中リン酸化タウ蛋白の測定が認知症を対象として保険収載され,680点がついた.そのため,臨床検査技師が認知症診断に直接関与する検査を行うことが可能になった.その他,認知症の病態把握に役立つ検査や治療評価に有用な検査は多くある.これからは認知症医療の現場で臨床検査技師が診断,治療効果判定に役立つ検査を積極的に行う必要がある.このような状況から,認知症医療に対応できる臨床検査技師が必要と考え,日本認知症予防学会と日本臨床衛生検査技師会が協力して認定認知症領域検査技師制度を立ち上げた.
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