技術講座 病理
剖検介助法2—頸部臓器の取り出しかた—特殊法,腹部最小限切開による方法
有賀 洋光
1
1東京都立駒込病院病理科
pp.33-38
発行日 1987年1月1日
Published Date 1987/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203962
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頸部臓器の取り出しかた
前回,各臓器の摘出方法を述べてきた.頸部臓器・食道・大動脈,骨盤臓器は上から下までいっしょに取り出す.この操作を介助者が行うことにより,執刀医はすでに摘出された臓器の観察を十分に行うことができる.
まず,枕を肩の下に入れる.御遺体の右側に立ち,前回[1]の図3-①で切った頸部の皮膚を解剖刀で皮膚一枚を残すような感じで下顎骨の下まで剥離していく.剥離してすぐ目につくのは,広頸筋と左右の胸鎖乳突筋,胸骨舌骨筋であるが,皮筋である広頸筋は薄く,皮膚といっしょに切られることが多い.左手で皮膚,右手で解剖刀を持ち,解剖刀の腹を使いながら皮膚,筋肉を切らないようにして,頭側に向かって剥離して行く.上(頭側)に行くに従って剥離される部位の皮下組織は薄くなり,切りにくくなる.そのときは左手中指で皮膚下面を人差し指で筋肉などを押しやり,より広い視野を作るようにする.
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