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第36回電気泳動学会春季大会が,6月6,7日の両日,野口英世記念会館(東京都新宿区大京町)において,北村元仕大会会長(虎の門病院)の下に開催された.本学会は,電気泳動という一つの分離分析技術を核とするユニークなものであり,今大会でも,内科,外科,臨床検査学,臨床病理学,法医学,獣医学,生化学,生物学にわたる広範な分野から,医師,検査技師,基礎研究者ら248名が一堂に会し,それぞれの分野で得た知見や研究成果を持ち寄って,活発な討論が行われた.そもそも電気泳動学会は,1950年に,その前身である蛋白泳動研究会が発足したことに端を発している.その9月に,関西電気泳動研究会と合流して電気泳動研究会となり,同年11月には第1回目の電気泳動研究会が開かれて,児玉桂三博士が初代会長に選任された.さらに1957年の第9回電気泳動研究会において,同研究会は発展的に解消され,電気泳動学会が設立されるに至った.そして,毎年秋に開催される総会の回数はそのまま受け継がれ,関東支部大会は春季大会と改称された.
本学会には,1961年に制定された学会賞(児玉賞)があり,機関誌『生物物理化学』に掲載された優れた研究業績に対し授与されているが,さらに本年は,1983年に東京で開催された第3回国際電気泳動学会(平井秀松大会会長)を記念し,世界的レベルで電気泳動技術の開発および応用に寄与した優れた研究業績を褒賞する平井賞が,新たに制定されており,今大会において第1回の平井賞がセルロースアセテート(セ・ア)膜電気泳動の開発者の一人であるJ. Kohn博士(The Royal Marsten Hospital)に授与され,同博士による受賞講演が"30 years of cellulose acetate electrophoresis;methodology and application"と題して行われた.
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