形態学的検査と技術 血液と病理
病理
【14】細胞診での特殊染色
[B]微生物抗原の検出
椎名 義雄
1
1杏林大学保健学部細胞診断学教室
pp.643-647
発行日 1986年4月15日
Published Date 1986/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203722
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はじめに
ホルモン細胞診から発展した現在の細胞診断学は,癌の早期発見はもとより,表に示すような原虫,真菌,クラミジア,ウイルスなどの微生物による感染症の診断にも寄与している.その診断学的根拠はトリコモナスや真菌のようにそれらの形態学的特徴によるものと,クラミジアやウイルスのように感染によって起こる細胞学的変化によるものとに分けられる(図1).しかし,Papanicolaou標本では真菌類の同定ができないことや,Chlamydia trachomatis(トラコーマ・クラミジア)では診断の指標となる細胞質内封入体が粘液空胞や菌塊とその形態が極めて類似しており,確定診断の困難なケースに会うことが問題である.
本項では特に,婦人科領域細胞診で最近性行為感染症(sexually transmitted disease:STD)の一つとして注目を浴びているクラミジア感染を中心に免疫組織化学的方法を導入してこの問題に挑み,その診断の手順および技術的解説を加えたい.
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