形態学的検査と技術 血液と病理
血液
[3]特殊血液形態学的検査
[A]特殊染色法
7)鉄染色
磯川 実
1
1東京共済病院検査科
pp.438-441
発行日 1986年4月15日
Published Date 1986/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203664
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はじめに
血液塗抹標本で鉄染色を行ったのはGrünberg(1941年)が最初である.彼は末梢赤血球内に可染鉄顆粒が存在することを報告し,これをジデロサイト(siderocyte,鉄赤血球)と名づけた.その後,DacieおよびDoniach(1947年),McFadzean(1949年〉らにより骨髄中ヘモグロビン生成赤芽球内にもベルリン青で染色される鉄顆粒が証明され,Kaplanら(1954年)により鉄芽球(sideroblast)と名づけられた.鉄芽球の変動,特にその増加がヘム合成障害,鉄代謝異常に起因する一連の疾患の病態解析に有用であることが明らかになるに従い,鉄芽球の検索はジデロサイトに比べより重視されるようになった.Bowman(1961年)は鉄芽球の中で鉄顆粒が核周にリング状に配列するものを環状鉄芽球(ringed sideroblast)と名づけ,血液疾患およびその他の疾患と関連づけて検討した.
現在では,環状鉄芽球はその成因がほぼ解明され,鉄染色は骨髄内における環状鉄芽球の増加を特徴とする鉄芽球性貧血の診断に不可欠なものとなっている.
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