測定法の基礎理論 なぜこうなるの?
細菌の栄養原・4—培地と培地成分
坂崎 利一
1
1国立予防衛生研究所細菌第一部
pp.179-182
発行日 1977年3月1日
Published Date 1977/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201299
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1.培地成分
一般に用いられる培地,すなわちいわゆる合成培地以外の培地は,カゼインあるいは動物の肉のようなタンパクの加水分解産物を基礎として作られている,加水分解の方法には酸(通常HCl)と熱によるものと,ペプシン,パンクレアチン,トリプシンまたはパパインなどの酵素によるものとがあり,前者による産物は完全な加水分解物であるのに対し,後者の分解は部分的で,一般にペプトンといわれるのはこれである.前者はわが国ではしばしば"カサミノ酸"と呼ばれるが,"casa-mino-acids"はDifco社の製品の商品名で,一般名ではないから,強いていうなら"酸加水分解カゼイン"とすべきであろう,菌の発育は酸加水分解カゼインよりもペプトンのほうがよい.それは後者のほうが分解の程度がまろやかで,多くの発育素が破壊されずに残っているためである.ペプトンの中でもより弱い酵素たとえばペプシンで消化したものはプロテオースペプトンといわれる.
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