おかしな検査データ
EDTA血漿による化学検査データ
正路 喜代美
1
1東大病院中検
pp.46-47
発行日 1975年6月1日
Published Date 1975/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543200811
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多チャンネル自動分析機によるルーチン検査で表1に示すような測定値を得た.測定法は表中に示すとおりである.このうちカルシウム(Ca)の0.1mg/dl,鉄(Fe)の0μg/dl,アルカリ性ホスファターゼ(ALP)の1.9KA単位は血清より得られる値とは考えられない.他の測定値は一見問題はないように思われるが,よいのであろうか?
病院では種々の目的で採血が行われるが,抗凝固剤を用いる場合や血清を要求される場合がある.しかし時にこれらを誤って,測定に不適当な採血法での試料を出されることがないわけではない.この試料は,臨床血液検査のためのEDTA血から得られたEDTA血漿と考えられる.普通CaとFeのゼロ値は考えられない.これらの測定は,いずれもキレート結合による呈色法である.ALP活性が異常に低いのは,活性化剤であるMg2+がEDTAとキレート結合してしまい機能を発揮していないためである.
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