オピニオン
日本乳腺甲状腺超音波診断会議(JABTS)の実力評価試験
白井 秀明
1
1札幌ことに乳腺クリニック
pp.1083
発行日 2011年11月1日
Published Date 2011/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543103363
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はじめに
わが国の乳がん検診はこれまでマンモグラフィが主に用いられてきた.ただし,わが国の年齢別の罹患率をみると40歳代が最も高いことより,50歳未満にみられる高濃度乳腺に対する検出能が下がるといわれており,マンモグラフィのみでは十分な効果が得られないことが懸念されている.一方,超音波検査(ultrasound,US)は高濃度乳腺に対しても高い精度を保って検査を行うことが可能といわれており,現在乳がん検診における有用性を検討するトライアルが厚生労働省によって進められている.
このようななか,日本乳腺甲状腺超音波診断会議(The Japan Association of Breast and Thyroid Sonology,JABTS)が主催し,USを行う医師と技師の人材の教育・育成のため,乳房超音波講習会が開催され,併せて資格認定を目指し実力評価試験(以下,評価試験)が行われている.これはこれまで日本超音波医学会が認定してきた超音波検査士とは異なるものということになる.
この評価試験は,茨城県でUSを対策型検診に取り入れるにあたり,その精度管理の目的に始まった講習会のなかで行われたものが前身にある.それをモデルとして第1回講習会が2003年1月11日~12日に筑波にて開催され,その後現在(2011年4月末日)に至るまでその数全国で,計75回が開かれた.この講習会を受講したものに受験資格が与えられ,その講習会の最終日に評価試験が行われてきた.筆者は講習会発足当初よりJABTS教育委員会の一員として講師の他,さまざまな事柄でかかわってきた.本稿では,その内容について紹介する.
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