増刊号 免疫反応と臨床検査2010
IV 感染症
E 病院感染対策としての抗体検査
病院感染対策としての抗体検査
浅利 誠志
1
1大阪大学医学部附属病院感染制御部/臨床検査部
pp.893-895
発行日 2010年9月15日
Published Date 2010/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102917
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今,なぜ成人の麻疹,水痘,風疹,流行性耳下腺炎(ムンプス)の抗体検査が必要か
麻疹や流行性耳下腺炎は「子どもの病気であり成人患者は少ない」と思っている医療従事者が多い.しかし,医療の現場では新人の医師,看護師,検査技師,事務職員などの発症者が多く,易感染性患者への伝播が危惧されている1).特に麻疹性肺炎を併発した場合は,有効な治療薬がないために重篤となるケースが多い.
表1に2000~2009年の4疾患の国内発生患者数(国立感染症情報センターIDSC,2010年1月7日現在)を示した.2006年まで減少傾向がみられていた麻疹は,2007年と2008年に10~20代を中心とする流行(IASR28:239-240,2007)が起こり,休校する高校・大学が相次いだことは記憶に新しい.このため発症リスクの高い新人職員によるウイルス院内伝播防止対策は急務となっている.
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