増刊号 顕微鏡検査のコツ―臨床に役立つ形態学
V 細胞診
総論
2 標本作製法
4 セルブロック法
濱川 真治
1
1公立昭和病院臨床検査科
pp.1150-1153
発行日 2009年9月15日
Published Date 2009/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102603
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1 セルブロック法とは
組織診断に先立って施行される細胞診は,単離細胞や細胞集塊,組織片をスライドガラスに直接塗抹し,固定・染色を施した後に光学顕微鏡で観察する簡便で優れた検査法である.ときに塗抹された細胞像のみでは,重積性のある細胞集塊の構築が十分に把握できない場合や,良・悪性の判定,組織型推定が困難なことがある.そこで,目的とする細胞や組織片を効率よく収集し,固定・包埋・薄切といった組織学的手技を取り入れ,二次元的に観察する手法を“セルブロック法(Cell Block method)”という.
セルブロック法はパラフィンやエポキシ樹脂包埋を用いて近接する連続切片を作製することにより,細胞集塊の構築や細胞小器官の詳細な観察が可能となる.また,特殊染色による粘液やグリコーゲンなどの証明,免疫組織化学的手法を用いて細胞骨格フィラメント,腫瘍・リンパ球表面マーカー,細胞増殖因子や癌抑制遺伝子産物の検索も可能となる.さらに細胞の由来や組織型推定,良・悪性の判定にも有効な役割を果たす.包埋されたセルブロックは半永久的に保存可能であり,遺伝子解析や癌治療薬適応評価などへも幅広く応用可能となる.セルブロック作製フローチャートを図1に示す.
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