目指せ!一般検査の精度向上
―尿沈渣検査の精度向上:3―尿沈渣成分の鑑別―上皮細胞(扁平上皮細胞,移行上皮細胞,尿細管上皮細胞)
猪浦 一人
1
1埼玉県済生会栗橋病院臨床検査科
pp.648-652
発行日 2009年7月1日
Published Date 2009/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102486
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はじめに
ヒトの表皮・粘膜を覆う上皮細胞には,扁平上皮細胞,移行上皮細胞,立方上皮細胞,円柱上皮細胞の4種類が存在する.臨床検体でこの4種類すべてがみられる検体は尿検体のみである.
上皮細胞のうち,扁平上皮細胞,移行上皮細胞は尿路組織で層を成しており,表層部と深層部の細胞では形態が異なる.尿細管上皮細胞は単層だが,近位尿細管,遠位尿細管など部位によって形態が異なる.これら上皮細胞は,炎症,結石,管腔の閉塞・拡張など,さまざまな条件で形態に変化を示すことがあり鑑別に苦慮することも多々ある.本稿では尿沈渣検査で遭遇する機会の多い,扁平上皮細胞,移行上皮細胞,尿細管上皮細胞の正常細胞の特徴,鑑別点,出現パターンについて解説する.
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