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はじめに
虚血性心疾患慢性期の再梗塞や梗塞後の狭心症については心筋逸脱蛋白のミオグロビン,遊離脂肪酸結合蛋白(heart-type fatty acid-binding protein,H-FABP),CK(creatine kinase)-MB(myoglobin)活性,CK-MB蛋白量,トロポニンT(troponin T,TnT),トロポニンI(troponin I,TnI)により診断される.しかし,壁ストレスや心肥大により高値を示し,心不全の病態把握として日常的に測定されつつあるヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド(brain natriuretic peptide,BNP)やヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体N端フラグメント(N-terminal-proBNP,NT-proBNP)においても無痛性の心筋虚血状態が続くような外来患者への適用が考えられている.
心筋マーカーとして,ミオグロビンとH-FABP,CK-MB活性とCK-MB蛋白量,TnTとTnIという非常に似た項目の使い分けは非常に難しい問題を残している.当然,BNP検査とNT-proBNP検査という検査項目も採血後の安定性や試料または検査方法などの測定・運用側からみた使い分け,心臓ホルモン的な作用をもつBNPと活性作用をもたないNT-proBNPの臨床側からみた使い分けは非常に難しい.それらを理解するためには,それぞれの臨床検査データを正確に出すための知識と技法を知る必要がある.今回,BNP測定として幅広く使用されている自動分析装置シリーズAIA(東ソー)とNT-proBNP測定として保険適用になった自動分析装置ECLusys(R)2010(ロシュ・ダイアグノスティクス)によるこれらの項目の違いを説明しながら,手技的問題,読み方の問題,検査に必要な基礎知識を紹介する.
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