一般検査室から私の一枚
推理小説―ある細胞集塊
坂牛 省二
1
1平内町国民健康保険平内中央病院臨床検査室
pp.724
発行日 2008年8月1日
Published Date 2008/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102148
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激しい腹痛で尿路結石症が疑われた患者尿沈渣に出現した細胞集塊である.単層の円形・類円形の細胞が管腔を形成し,あたかも管状の組織がそのまま脱落してきたかのような細胞集塊である.この細胞は何?なぜ尿沈渣に?病態との関連は?どう報告すればいいの?見なかったことにしようか?
次々に浮かぶ疑問が頭の中を駆け巡った.扁平上皮細胞でもなく,移行上皮細胞でもない透明感のある細胞質や褐色の顆粒(リポフスチン顆粒)および特徴的な細胞配列などから尿細管上皮細胞と推定した.果たして尿細管上皮細胞がこのような形で尿中に脱落してくることがあるのだろうか.それはどんな物語なのか,まさに推理小説を読むようである.
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