私の一推し免疫染色
EMA染色で微細構造を検出する!―上衣腫の診断への応用
平戸 純子
1
1群馬大学医学部附属病院病理部
pp.40-41
発行日 2008年1月1日
Published Date 2008/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101970
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上皮性膜抗原(epithelial membrane antigen,EMA)は上皮性マーカーとして広く病理診断に応用されている.さらに形質細胞腫や一部の悪性リンパ腫,上皮細胞様の形態を示す特殊な骨軟部腫瘍の診断にも利用されている.神経系腫瘍では,髄膜腫や神経周膜腫で高率に陽性となり,組織像の特徴が不明瞭で他の腫瘍型との鑑別が必要な場合によく使われる.グリオーマ(glioma)のマーカーとしては,もっぱらグリア細線維性酸性蛋白(glial fibrillary acidic protein,GFAP)が使われており,中枢神経系腫瘍のマーカーとしてよく知られているが,グリオーマの代表的な腫瘍型の一つである上衣腫の診断に上皮系マーカーのEMAが非常に有用であることは,一般的には知られていないように思う.
上衣細胞は脳室の内腔面を覆っており,表面には多数の微絨毛が派生し,線毛も認められる.隣接する細胞との間には接着帯zonula adherentesなどの結合装置があり,上皮細胞に類似している.ただし,上皮細胞のように基底膜はなく底面はアストロサイトの突起と接している.特殊な上衣細胞である伸長細胞tanycyteは,底部で脳実質内に突起を伸ばし,血管壁まで達する.EMAは微絨毛が生えている遊離縁に発現する.
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