臨床医からの質問に答える
複数菌分離例における原因菌の決定法
相原 雅典
1
1医療法人社団徳風会高根病院検査部
pp.1472-1475
発行日 2007年12月1日
Published Date 2007/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101952
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はじめに
細菌や真菌感染後の発症の有無や症状の重軽は,菌側の病原性と宿主側の抵抗力とのバランスで決まる.今日先進国においては多くの強毒菌感染症の自然発生が制圧され,強毒菌感染症による致死的リスクは著しく軽減した.反面,終末期の医療現場において,感染症はいまだ患者生命を奪う重要なリスクファクターであることに変わりない.わが国で日常的にみられる感染症のほとんどは「平素無害な微生物による日和見感染症」であるが,この感染症は宿主側の抵抗力の減弱により菌側の病原性とのバランスが崩れることで成立する.それゆえに,強毒菌感染症のように感染菌の名称がわかればその疾患を診断できるケースは少ない.現在の培養・同定検査に偏った検査法では,検出菌が一種であれ複数であれ,日和見感染症における検出菌の意義付けは容易ではなく,検出菌の病的意義を適切に判断しうる検査体系の再構築が急務となっている.
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