今月の表紙
マントル細胞リンパ腫:Mantle cell lymphoma
常名 政弘
1
,
東 克巳
2
1東京大学医学部附属病院検査部
2杏林大学保健学部臨床血液学研究室
pp.757
発行日 2007年8月1日
Published Date 2007/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101792
- 有料閲覧
- 文献概要
今回は,マントル細胞リンパ腫(mantle cell lymphoma,MCL)を取り上げた.MCLはWHO(World Health Organization,世界保健機関)分類では,リンパ系腫瘍の成熟B細胞性腫瘍(mature B-cell neoplasms)のなかに分類されている.
MCLは高齢者の男性に多く見られ,白血化しやすく臨床的には予後不良といわれている.わが国での発生頻度はリンパ系腫瘍の5~10%で,発症時には病気が進行している例が多く,リンパ腫細胞が末梢血液にもよく出現する.また正常の成熟リンパ球に近似していることも多く,鑑別困難な細胞の一つに挙げられる.細胞の特徴は,15~20μm程度の小型から中型の細胞で,細胞質は比較的狭くN/C比(nucleocytoplasmic ratio,核細胞質比)が大きい.核クロマチン構造は粗剛なことが多く,核形は切れ込みを認めることがある.また一部にリンパ芽球様の形態や著明な多型性を示すこともある.
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.