- 有料閲覧
- 文献概要
私のチーム医療の原点は多職種協働で行っていた当直業務であったと思います.医師・看護師・放射線技師・事務職・臨床検査技師などが患者さんを救命するために一体となって働いた経験が,今の私を育ててくれたと確信しています.当時の当直は24時間勤務でほとんど仮眠もできないハードな状況でしたが,現在のように「チーム,チーム」と騒がずとも,自然にチームが成り立っていたように思います.
今,チーム医療といって集まったチームは果たして本当にチームとしての機能を果たしているのでしょうか? 一体,そのなかで臨床検査技師である私たちは何をするべきなのか,何ができるのか? 医療経済情勢の厳しいなか,チーム医療への参画は増員も期待できない状況ではなかなか難しいものがあります.そのなかで臨床検査技師が外に向かうためには,まず検査室のメンバー全員が臨床へ出ることの必要性に対する理解が不可欠になってきます.当院では1998年より,ただ単に臨床検査技師ができる患者サービスについて考えようと新しい取り組みを始めました.私たちが病棟業務を始めた当初は今ほどチーム医療も騒がれておらず,私たちも特に意識したわけではなく,ただ検査室のなかで検査する臨床検査技師でなく,患者さんのそばにいる臨床検査技師を目指し,インフォームドコンセントの充実を考え,病棟での翌日検査内容の説明を始めました.これが私たちにとっての最初の患者さんを中心にした医師・看護師・臨床検査技師による小さな輪でのチーム医療の始まりでした.それが基盤となり現在では,栄養サポートチーム(nutrition support team,NST),感染対策チーム(infection control team,ICT),糖尿病療養指導,クリティカルパスなどそれぞれの目的に応じて再編成され,臨床検査技師も大きな抵抗なくチームに参画していけるようになったのではないかと思います.
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.