増刊号 包括医療と臨床検査
第1章 総論―包括医療とは
2.包括医療と臨床検査
3)必須基本検査
桑島 実
1
1香川県立中央病院・検査科
pp.908-911
発行日 2003年9月15日
Published Date 2003/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101541
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はじめに
日常初期診療ではインタビュー(問診)による病歴聴取と診察所見が最も重要な情報源となり,これらの所見のみで8割近くの疾患の診断が推定できるとされている.ただし,病歴と診察による情報は主観的で診察医の能力,経験,状況に左右されやすいという問題点がある.一方,臨床検査から得られる情報には客観性と計量性がある反面,身体全体や時間経過からみて部分的,断片的である.患者の全体像を客観的に把握するには,インタビューから得られる情報と身体所見に加え基本になる臨床検査をいくつか組み合わせ活用することが望ましい1,2).そこで必要になるのが必須基本検査または「基本的検査」である.すなわち,日常初期診療に不可欠な,いつでも,どこでも,どのような初診患者に対しても容易に適用できる最小限度の検査である.
実際の診療過程では,インタビューと診察の所見を基に迅速に結果が得られる比較的簡便な「基本的検査」を必要に応じ選択し,診察所見と検査所見を総合的にみて,どの系統の疾患ないし病態かを推定し,仮の診断を行う.次に患者の問題点を明確化し,問題解決に必要な臨床的観察と並行して臓器系統別の第一次スクリーニング検査を行い診断を得る.さらに必要ならば診断確定のための検査を追加するというように進める(図).
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