私の必要な検査/要らない検査
内分泌検査 2.性腺機能検査―検査医の立場から
岩谷 良則
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1大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻生体情報科学講座
pp.439-442
発行日 2003年5月1日
Published Date 2003/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101413
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必要な検査,要らない検査とは
要らない検査とはっきりいえるものがあるかと考えると,ないように思う.どの臨床検査項目もなんらかの独自の臨床的有用性を持っている.例えば,ある疾患の診断において,その検査項目よりも感度,特異度のかなり優れた新しい検査項目が出てきたとしても,その疾患の診断以外になんらかの臨床的有用性があったり,極めて廉価であったり,また新たな有用性が見いだされたりすることもある.また,稀にしか使用されない検査項目であっても,ある特定の疾患の診断に不可欠であれば必要な検査といわざるを得ない.おそらく,今回の必要な検査,要らない検査というのは,医療の高度化,複雑化,さらには社会の超高齢化による医療費の高騰を抑えるために必要な検査,要らない検査と考えるのが妥当であろう.
現在,医療費の高騰を抑えるために,保健医療制度の抜本的改革として医療費の包括化を推進し,診断群別包括払い方式が導入されようとしている.そのため医療効率を上げることが必須であり,最も少ない医療費で診断・治療できる方法が模索されている.その1つが,診断効率の高い検査診断法の確立であり,できるだけ余分な検査をせずに,早く的確に診断できる方法が望まれる.もちろん診断の感度・特異度を上げようとすれば,できるだけ多くの検査をするにこしたことはないが,対費用効果を考慮して決める必要がある.そこで,今回,性腺・胎盤機能関連検査(表1)のなかで,性腺機能の診断・治療に最も効率的と考えられる必要な臨床検査項目を取り上げ説明したい.
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