絵で見る免疫学 基礎編 41
血液型抗原(4)―Lewis式血液型
高木 淳
1
,
玉井 一
2
1アボットジャパン㈱器機診断薬事業部営業
2栄光病院
pp.426-427
発行日 2003年5月1日
Published Date 2003/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101407
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体液中の血液型物質
血漿,唾液,そのほかの体液中にABH式血液型物質を分泌している人と分泌していない人がいる.前者を分泌型,後者を非分泌型と呼ぶ.分泌型の人の体液中にはABO型式血液型に一致した型物質,すなわち O 型は H 物質,A 型は A と H,B型はBとH,AB型はA,BおよびH物質を分泌している.したがって,非分泌型の人の体液中の血液型物質にはABH血液型物質は存在しない.分泌型および非分泌型抗原は分泌遺伝子(Se)によって調節されている.Seは対立遺伝子seに対して優勢で,分泌型の遺伝子型はSeSeまたはSeseであり非分泌型の遺伝子型はseseである.赤血球膜上に存在するABH型物質は,血球とともに骨髄で作られて赤血球膜の一部を構成している.体液中のABH式血液型物質は各々の分泌腺で作られて体液中に分泌される.体液中のABH型物質は,胃液,唾液,胆汁,精液などに多く,汗,涙,尿,血漿中には少ない.
Lewis 抗原
Lewis抗原は,血漿中に存在する型前駆物質のN-アセチルグルコサミン(GlcNAc)の4位にフコースを添加する酵素をコードしている遺伝子(Le)によって調節されている.Leは対立遺伝子leに対して優勢である.このフコース(Fuc)は,赤血球膜状の型鎖に付加されることはない.なぜならば,GlcNAcの4位の炭素がガラクトース(Gal)によって占められているからである.赤血球膜上にLewis抗原が存在するのは,血漿中のLewis抗原が赤血球膜に吸着されたためである(図1).
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