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日本臨床検査自動化学会第38回大会が2006年10月11~13日,神戸国際会議場で開催されました.東京駅から3時間,新幹線の中で本大会の抄録集を眺めて,3日間どのシンポジウムを聴こうか,どこのランチョンセミナーでお弁当を食べようか,今回の一般口演はどんな演題が多いのか,そんなことを思っているうちに神戸に到着しました.自動化学会大会に参加するときは横浜での開催時が多く,神戸で開催するときの参加は今回が初めてでした.大会中の3日間は天候にも恵まれ,海に囲まれたポートピアランドや,ハーバーランドの観覧車,異人館の案内などを目にしていると,学会に来たことも忘れ,思わず観光に来た気分になってしまいました.
今回の学会のメインテーマは“明日の臨床検査―新たな可能性を問う―”とされ,講演,シンポジウム,セミナーが開催されました.シンポジウムでは“リアルタイム検査の拡大への秘策”に参加しました.今の検体検査では診療前検査や至急検査,正確で迅速な検査が望まれています.診療時に患者のそのときの検査データが出ていれば,すぐその場からの治療を行うことができ,そして患者の来院回数の負担も少なくなります.今回のシンポジウムは,五つの施設の検査室でのリアルタイム検査に対応するさまざまな工夫が発表されました.診療前検査や至急検査の検査項目拡大や報告時間の短縮の要望はとどまることがないようです.“リアルタイム検査が必要な項目”として獨協医科大学の〆谷直人先生の講演がありました.検査項目はどんな項目が必要なのか,やはり臨床からの情報が重要になります.報告時間の短縮,TAT(turn around time)の短縮と最近ではいわれていますが,それに対する工夫はさまざまな施設で行われています.人員削減,業務の効率化などが挙げられる今日,人員の配置や検査システム,検査装置の選択など運用面において工夫がなされています.今回,機器展示会でも多く目にした化学系,免疫系の統合型装置,それらをつなぐ搬送ラインを導入し効率よく検査を行い,TATの短縮に貢献しているようでした.“明日の臨床検査”,どこまでTATは短縮されるのでしょうか.
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