増刊号 新しい臨床検査・未来の臨床検査
各論
5.感染症検査
3 結核菌群抗原
斎藤 武文
1
,
林原 賢治
1
,
守屋 任
2
1国立病院機構茨城東病院呼吸器疾患部内科
2国立病院機構茨城東病院研究検査科
pp.1248-1249
発行日 2006年10月15日
Published Date 2006/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101100
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はじめに
わが国の結核新登録者数,罹患率は5年連続で減少しているものの,その低下割合は少なく,平成16年(2004年)では29,736人の新発生,2,328人の結核死亡が報告されている.また結核と類似した病態を示す非結核性抗酸菌症は近年増加する傾向にあり,結核の感染拡大防止,治療方針決定のための両者の鑑別は,以前に増して重要になっている.結核の確定診断は菌を証明することであり,臨床検体からの培養分離菌の同定は重要な検査プロセスである.従来,固形培地上のコロニー観察,ナイアシン試験から同定され,最近ではDNA-probe法が加わっている.しかし,前者による同定は菌量を多く必要とするうえ,判定まで4~8週と結果報告まで長い期間を要する.また後者による方法は感度,特異度は優れているが,操作が煩雑であり,習熟度が要求される,特別な装置,設備が必要といった問題がある.結核菌群特異抗原であるMBP64を用いた結核菌群同定法が近年,開発され臨床応用された.本稿では同検査法について解説する.
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