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生活習慣病の血中マーカーとしての「高分子量アディポネクチン」
広瀬 寛
1,2
,
山本 幸宏
2
,
奥野 武彦
3
1慶應義塾大学保健管理センター
2慶應義塾大学医学部内科
3富士レビオ(株)商品開発部
pp.481-483
発行日 2005年5月1日
Published Date 2005/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100023
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はじめに
インスリン抵抗性を基盤とした糖尿病,高血圧,脂質代謝異常といった生活習慣病の病態は,いずれも動脈硬化や心血管病の強力な危険因子である.しかも,それらの各因子は特定の個人に集積しやすくメタボリックシンドロームを呈し,それらの因子が重複するほど,動脈硬化による心血管病のリスクが相乗的に高まることが知られている.したがって,インスリン抵抗性を是正することは,動脈硬化や心血管病の予防や管理に際して非常に重要である.脂肪細胞は長い間,単なるエネルギーの貯蔵庫と考えられていたが,近年の研究の進歩によりアディポサイトカインと呼ばれる種々の生理活性物質〔遊離脂肪酸(free fatty acid,FFA),腫瘍懐死因子(tumor necrosis factor,TNF)-α,レプチン,PAI-1,アンジオテンシノゲン,アディポネクチン,レジスチンなど〕を合成・分泌する場であることが明らかとなった1).
本稿では,アディポネクチンに関する国内外の報告およびわれわれの臨床知見を加えて概説した.
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