特集 癌の臨床検査
II 癌による病態変化をとらえるための検査
1 血液学的検査—造血器腫瘍を中心に
塚田 理康
1
Toshiyasu TSUKADA
1
1虎の門病院血液学科
pp.1486-1495
発行日 1989年10月30日
Published Date 1989/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542917649
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
造血器腫瘍細胞の同定法としては,従来から細胞化学を利用した特殊染色法を含む形態学的観察が用いられてきたが,最近は免疫学的手段を用いる細胞膜抗原の同定,染色体分析の導入による腫瘍細胞に特徴的な染色体異常の検出,さらにDNA解析による遺伝子再編成(rearrangement)の証明,といった手法が取り入れられ,腫瘍細胞の正確な分類,予後の判定などが可能になってきた.
悪性腫瘍の中でも造血器腫瘍細胞における分析は,材料である細胞が容易に入手しやすいことから最も進んでいる.したがって,本稿では,急性白血病,悪性リンパ腫を中心に,細胞化学,細胞膜抗原の種類,染色体異常について述べてみたい.
Copyright © 1989, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.